医療事故調査委員会報告
医療事故調査委員会報告
病院長 神田達夫
平成29年5月1日に当院で発生いたしました医療事故の調査結果についてご報告申し上げます。
本件は肝性脳症治療薬「リフキシマ」の投与予定患者に抗凝固薬である「リクシアナ」が投与され、死亡に至った事例です。当院では、本件が医療事故調査制度報告対象事例に該当すると判断し、5月11日付、医療事故調査・支援センターに報告するとともに、外部委員2名を含む院内事故調査委員会を立ち上げ、事故の原因調査と再発防止策を検討してまいりました。このたび医療事故報告書がまとまり、8月11日に医療事故調査・支援センターに報告書を提出いたしました。ここにご報告申し上げます。
個人情報保護の観点から提出された医療事故報告書は一般には非公開といたしますが、以下に報告書の概要を記します。
当院および新潟県厚生連では、今回の事故を重く受け止め、このような事故が二度と起こらぬよう再発防止に向けた対策を速やかに実行し、患者、家族、地域の信頼回復に努めてまいります。
報告書概要
Ⅰ.事故の概略
肝性脳症で入院したアルコール肝硬変患者に肝性脳症治療薬である抗菌薬リフキシマを調剤、投薬すべきところ、調剤過誤により肝硬変ならびに透析患者に抗凝固薬リクシアナが2日半にわたり投薬された。そのため、リクシアナの副作用による消化管出血が引き起こされ、それによる出血性ショックで死亡に至った可能性が否定できないと推察された。しかし、その一方で他臓器や全身の出血傾向は明らかではなく、死因が薬剤の副作用のみによるかは不明である。
Ⅱ.再発防止策
1.薬剤部の業務改善
1)環境整備: 人員確保、調剤支援システムの導入、薬剤棚の表示改善など
2)調剤、監査手順の見直し: 監査機器の導入など
3)業務軽減: 薬剤の種類の削減、類似名薬剤の新規採用の抑制など
2.看護部の薬剤チェック体制の見直し
3.死因究明のための病院体制の構築